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【元ネタ】史実 【CLASS】アサシン 【マスター】 【真名】マーチャーシュ1世 【性別】男性 【身長・体重】179cm・64kg 【属性】秩序・中庸 【ステータス】筋力C 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運C 宝具C 【クラス別スキル】 気配遮断:D サーヴァントとしての気配を絶つ。隠密行動に適している。 ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。 【固有スキル】 変装:B+ 物理的方法によって見目を装う変装技術。 暗殺者ではないので、アサシン能力「気配遮断」を使えないが、 偽装技術の延長としてサーヴァントであると認識させる事を防ぐ。 カリスマ:C 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。 カリスマは稀有な才能で、小国の王としてはCランクで十分と言える。 【宝具】 『正義たる我、悪を誹謗す(フネドアラ・ドラクリヤ)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人 ヴラド3世を“悪魔の子”とした喧伝。 自身に向けられた悪評を、悪名の喧伝によって対象へ移し変え マーチャーシュは常に清廉潔白な「正義王」であり続ける。 一定以上の悪評を受けた対象は、E-ランク相当の『無辜の怪物』スキルを獲得する。 このスキルは喧伝者本人にも解除不可能。 対象の悪名が高まるほど、完全な怪物に堕ちるまで、ランクが向上していく。 【解説】 通称マティアス・コルヴィヌス。本名フニャディ・マーチャーシュ。 中世ハンガリー王国の最盛期を築いた「正義王」。 中央集権化を進めて強力な常備軍「黒軍」を置き、欧州へ勢力を伸ばした。 ウィーンを陥落させてオーストリア大公国を支配下に収めたが、跡継ぎ無く49歳で急死。 王の死後、ハンガリーは再び敗北の日々に戻ることとなる。 ルネサンス文化を奨励した知識人、ハンガリー黄金期を築いた偉大なる王、 という面の一方で、同盟関係にあったヴラド3世の残虐さを強調し 十字軍を放棄するなど、ある意味ではブラム・ストーカーの先達ともいえる人物でもある。 身分を隠して国内を回った伝説が伝わるなど、民衆からの人気は今も非常に高い。
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憑依継承:? (マシュ・キリエライト) サクスィード・ファンタズム。 デミ・サーヴァントが持つ特殊スキル。 憑依した英霊が持つスキルを一つだけ継承し、自己流に昇華する。 マシュの場合は『魔力防御』。 魔力放出と同タイプのスキルで、魔力をそのまま防御力に変換する。 膨大な魔力を持つ英霊であるなら、それは一国をも守護する 聖なる壁となるだろう。
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神殺し:B (スカサハ(Grand order)) 異境・魔境である「影の国」の門番説いて、数多くの神霊を屠り続けた彼女の生き様がスキルと化したもの。 神霊特効。神霊、亡霊、神性スキルを有するサーヴァントへの攻撃にプラス補正。 【A+ランク】 【Aランク】 【Bランク】 【C+ランク】 【Cランク】 【Dランク】 【Eランク】
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友誼の証明:C (ヘクトール(Grand order)) 敵対サーヴァントが精神汚染スキルを保有していない場合、相手の戦意をある程度抑制し、話し合いに持ち込むことができる。 聖杯戦争においては、一時的な同盟を組む際に有利な判定を得る。 【A+ランク】 【Aランク】 【Bランク】 【C+ランク】 【Cランク】 【Dランク】 【Eランク】
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【元ネタ】史実 【CLASS】アサシン 【マスター】 【真名】エティエンヌ・ド・シルエット 【性別】男性 【身長・体重】163cm・67kg 【属性】秩序・中立 【ステータス】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運D 宝具D+ 【クラス別スキル】 気配遮断:B(D) 『ただ輪郭だけの実体のない人間(シルエット)』より得たスキル。 サーヴァントとしての気配を絶つ。 完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。 ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 宝具の効果によってランクアップしている。 【固有スキル】 偽装:C(-) 変装・擬態の技術。宝具による認識撹乱。 陽動、欺罔、変装などカムフラージュ全般に有利な補正を得る。 【宝具】 『ただ輪郭だけの実体のない人間(シルエット)』 ランク:D+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:100人 彼の名が元となった黒紙を用いた切紙細工の人物肖像。 のちに影絵一般を指すようになった逸話の具現。 Cランク相当の気配遮断と偽装を獲得させ、気配や輪郭、対象の持つあらゆる情報を隠蔽。 彼の持つ“倹約”という特性を因とする認識撹乱によって、対象を影絵(シルエット)のように曖昧な姿にしてしまう。 【解説】 フランスのルイ15世時代の財務大臣エティエンヌ・ド・シルエット(Etienne de Silhouette、1709年6月8日-1767年1月20日)に由来。 当時フランスは七年戦争が長引いたことで財政難に陥っていたが、シルエットに特別財政再建策はなく 「贅沢を戒めよ」と説くだけの「無能大臣」と呼ばれていた。 しかし、自らは節約に励み、お金のかからない影絵によるシンプルな肖像画を編み出した。 これが当世のヨーロッパで大流行し、現代でも馴染み深いシルエットの由来ともなっている。 本来、彼自身には暗殺者としての適正はないが 広く世間に浸透したシルエットの特性によりアサシンとして適正を得るに至った。
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【元ネタ】ケルト神話 【CLASS】バーサーカー 【マスター】 【真名】ピサール 【性別】男性 【身長・体重】181cm・221kg 【属性】混沌・狂 【ステータス】筋力C 耐久B 敏捷D 魔力B 幸運D 宝具A+ 【クラス別スキル】 狂化:B 全パラメーターを1ランクアップさせるが、理性の大半を奪われる。 【固有スキル】 芸術審美:E- 芸術作品、美術品への執着心。 芸能面における逸話を持つ宝具を目にした場合、 ごく低い確率で真名を看破することができる。 ただし現在はクラス能力により狂化している為、能力を発揮できない。 【宝具】 『屠殺者(アラドヴァル)』 ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:0~99 最大捕捉:1000人 魔人王ピサールが持つ凶暴な意思を持つ血に餓えた毒槍。 周囲から無差別に魔力・生命力を熱として略奪する力を持つ。 略奪をされた対象は体温の低下と体表からの熱の放出により、 周囲の温度が上昇したような錯覚に陥る。 1ターン経過するごとに略奪の範囲が広がり数日間で最大の規模になるが、 略奪の度合いは穂先からの距離に比例して減少する。 熱が一定以上蓄積された状態で一気に開放することで、 広域を焼き尽くす高熱の瘴気として放出する。 『屠殺者』を完全に支配できる者に握られて居なければ、 単独で勝手に動き能力を発動させる。 『遮蔽氷鞘(カラド・ウィシュケ)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1個 封印の釜が変じた、圧縮された冷水の魔術礼装。 包み込んだものと外界との熱のやり取りを遮断する。 『屠殺者』を包み込むことで、熱としての略奪能力を封じることが可能。 この『遮蔽氷鞘』に包まれた武器による攻撃は、 ダメージ判定に冷気によるボーナスを得る 【解説】 毒槍『屠殺者』を持つ、ペルシャの魔人王。 太陽神ルーに槍の回収を命じられたトゥレンの息子たちによって、 黄金の林檎で額を割られ、槍を強奪された。 【出演SS】 マスターV教授(+フラット君)のサーヴァント講座 七時限目
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“―――西部には決闘が必要なんだ”ジョー・サンクス 歓楽街を二人の男が歩いている。 一人は小柄な体格、もう一人は周囲全てが振り向くほどの巨漢。 彼らは二人ともごく有触れた服装をしていた。 問題は、それが歓楽街には似つかわしくない、西部劇から抜け出してきたかの様な服装だという事だ。 そして、余人には分からない事だが、彼らはヒトではない。 有り得ない程の密度の魔力で編まれた最上級の使い魔。 座へと至った、偉人達。その一欠片が聖杯により現界した存在、英霊。 その英霊を使役し、聖杯へと至る儀式、聖杯戦争。 此度の戦争に於いて、小柄な男はアーチャー、巨漢はライダーのクラスを与えられ、召喚されていた。 周囲の目を引きながらも意に介さず、彼らは手近なバーへと入っていった。 アーチャーが「まあ、取り敢えず呑もうぜ」と誘ったのである。 「この時代の酒は旨えなあ、オイ。俺らが呑んでたのは、ありゃ何だ?」 「酒は酒さ。呑めば酔う。酔う為に呑むのさ、何も変わっちゃいない」 「ほー、アウトローがいっちょまえに言うじゃねえか、アレか、もう酔いが回ったか?」 「はっはっは、こいつは言ってくれる」 軽口を叩きながらも両者は決して油断などしていない。 こうして呑んでいる最中にも相手が襲ってくるかもしれない。 扉を蹴破って、荒くれが乱入してくるかもしれない。 それが彼らが生きた時代には、ごく当たり前の事だったから。 …油断せずとは言いつつも、結局閉店まで呑み続けた二人は、僅かに白み始めた空の下、郊外の公園に移動していた。 「しっかしお前ほんとにいたのな、話十分の一にしても俺ぁ信じてなかったのによ」 まだ呑み足りないのか、コンビニで買ってきたビールを片手に相手を軽く挑発するアーチャー。 「思いがカタチになるって事だろう。ヒトがいると思えば、いや、いたと思えば、こうしていなかったオレがいる、そんな事が起こるんだろう」 巨漢はその風貌に似合わず存外に哲学的な答えを返した。 「そんなもんか?『デケェの』。そういやお前、どっちかっつーと都市伝説?そんなんに近ぇな」 挑発を続けるアーチャー。いつしかその手には酒ではなく、生前愛用した拳銃が握られていた。 「まあそう言うなよ、『悪漢王』。あの黄金の時代、眩しい開拓の時代の男が二人、ここにいる。 なら、やることは一つだろう?」 挑発に応じるかの様に問いかけるライダー。その手には投げ縄と拳銃が握られている。 「…まぁな。だけどよ、お前早撃ちで俺に敵うと思ってんのか?」 「いいや、それはないな。だが…」 そう言うとライダーはおもむろに天へと銃口を向け、撃った。 と、瞬時にその巨体が掻き消える。 「!?」 「こっちだ」 見るとライダーは遥か頭上へと浮かび上がっていた。 宝具の力で銃弾が起こした風へと飛び乗ったのだ。 「悪漢王、お前さん、風を撃った事はあるかい?」 アーチャーの顔に獰猛な笑みが浮かぶ。 「成程、こいつは素敵だ」 アーチャー、ウィリアム=H=ボニー。通称ビリー=ザ=キッド。 ライダー、ペコス・ビル。西部ホラ話の主人公。 同じ時代に生きた二人は、同時に叫んだ。 「「抜きな、どっちが強いか試してみようぜ!!」」 “―――もう二度と捕まらん、絶対にな!”マヌエル“クチリオ”・サンチェス 「ハァッ、ハアッ、ハアッ…」「……」「……」 摩天楼が立ち並ぶ市街地。その足元、日の射さぬ路地裏を或る一団が疾走している。 姿も大きさも様々な、しかし同じ生物種の一団。野犬達である。 彼らは今、一丸となり獲物を追い詰めようとしていた。 その獲物とはこの摩天楼の主人である筈の存在…ヒトである。 ヒトに捨てられた野犬達は今、嘗ての主に牙を剥き、その身を喰らい、糧にしようとしていた。 不気味な程に統率された動きで獲物を少し広めの行き止まりへと追い詰めた彼らは一定の距離を取って動きを止めた。 「ヒ、ヒイッ!!」 獲物となった浮浪者は野犬達の後ろから、どの犬よりも更に大きな「何か」が来るのを見た。 それは犬ではなかった。狼だ。いや、狼ですらないのかもしれない。 その瞳には知性すら宿っているように見え、魔物といった方が正しいのではないか。 狼は口を開き、群れに止めの号令を下そうとした… 「そこまでよ」 浮浪者はいつの間にか自分の隣に女性が立っている事に気付いた。 女性は風変わりな衣装を身に纏い、その気配は神々しさすら感じる。 「獣の身でヒトを喰らうとは。魔物へと堕してまで生き延びたいのですか」 女性の神々しさに群れがざわつき、統制が乱れかける。 と、狼が唸り声を上げた。 (騒ぐな…) 群れが瞬時に統制を取り戻す。狼はまた低く唸った。 (狩りやすいから狩るだけだ…ヒトも昔に比べ鈍くなった…) 「度し難い…」 女性はそう言うと傍らの浮浪者を放り投げた。 「ファッ!?」 奇声を上げて上昇していく彼は、取り敢えずは自分が助かったのだろうかと判断し、気絶した… 「さて、貴方はどうするかしら?…アサシン」 浮浪者が無事ビルの屋上へ落下したのを察知した女性…キャスターのクラスを与えられた存在はアサシン…狼へと問いかけた。 (何も変わらない…2匹が1匹になっただけだ…狩りを続行する…) 簡潔にそう伝え、狼は再び群れを掌握する。 「……そうですか…仕方ありませんね…」 一瞬表情を曇らせたキャスターの身体が光に包まれ、その姿形を変化させていく。 光がおさまった時、そこには1頭の白いバッファローが立っていた。 突如現れた巨獣に群れが怯える。 「来なさい、『痩せ犬』共」 キャスター、真名をプテサン・ウィ。スー族伝説の巫女。白き聖獣の化身。 「魔物達よ、この地での悪行、この私が許しません。雷に打たれ、せめて安らかに逝きなさい」 (面白い…) 生前狩っていた牧場のウシとは大違いだ。こいつは狩り甲斐がある。 何より捕食者が被食者に後れを取るなど、あってはならない。 アサシン、その真名はロボ。カランポーの古狼。狼王ロボ。 かつて妻、ブランカをヒトに殺された事が元でヒトに敗れ、捕らえられた後食を絶って自害同前に果てた彼は、誇り高き野生の象徴として座へと至った。 そこで生前以上の知恵を授けられた彼は今、一つの願いを持つに至った。 (ブランカ…待っていろ…必ず…お前を…) 彼は一声吠えると群れを従え白牛に突撃していった。 “―――神様! 奇跡だ。見ろよ、銀貨が銃弾を止めたんだ”ゲイリー・オハラ 此度の戦争でセイバーとして召喚された「それ」は困惑していた。 なにせ、自分の目の前にいるサーヴァントの心象風景を塗り潰せないのだ。 見た目はみすぼらしい隻脚の漁師。そしてステータスも見た目通りの程度しかない。 隠蔽の気配は無く、神秘も薄い。 この相手では自分を倒す事など不可能だ。 だが、こいつは自分の影響を退けている。 サーヴァントであれ、人間ならば逃れ得ぬ筈のものに、何故…! 「どけ、俺の狙いは『奴』だけだ。浮気などしたら、『奴』が可哀想だろうが」 あり得ない。妄執一つで黙示の騎士と渡り合うだと…! セイバー、その真名をレッドライダー。黙示録に登場する騎士、戦争の化身。戦火の赤騎士。 その権能は「戦」であり、ヒトを争わせる事こそがその存在意義である。 当然、それ以外の機能など「それ」に備わっていない…本来は。 だが「戦」はヒトが居なければ成立しない。だから「それ」はヒトに影響を強く受ける。 そして今の「それ」はサーヴァントという「枠」に押し込められた存在なのだ。 故に…更に劣化し、結果困惑しているのである。 そんな二人組に、 「おお、そこな騎士殿と船長殿。今日は良い天気だ。一つ、そこのカフェテラスで余と議論をせんかね?」 朗らかに声を掛ける者がいた。 “―――男には信じられるものが要る”ミスター・ノーボディ 白昼堂々凝った軍服を身に纏い、勲章を着けた白人男性だ。 (…何か、また変なのが湧いて出た…)セイバーはそう思った。 「下らん、俺は忙しい。話ならそこの奴とでもするがいい」 船長と呼ばれたサーヴァントはそう言ってさっさと霊体化し、その場を去ってしまった。 「ふむ…中々気難しい御仁じゃなぁ。まあ良い、では騎士殿、参ろうか」 「あの橋は立派だな。余も生前散々架橋せよと命じたが遂に実現せなんだ、全く…」 …訳も分からぬ内にカフェテラスへと連れて来られ、訳の分からない話を聞かされ続けている… (…何をしているのだ…そうだ…戦を…ヒトを戦へと駆り立てねば…) 漸く混乱から立ち直り、己が権能を果たそうとした「それ」は再び困惑する。 (概念が、逆に塗り潰されている!?馬鹿な、黙示の騎士を上回る神秘だと…!?) 「それ」の狼狽に気付いたのか眼前の男はにこやかに笑って、「それ」に告げた。 「ここもまた、今は余の帝都である。愛する我が市民達を戦火に晒す事など、余は到底許す事は出来ぬぞ、騎士殿」 男の正体、それはバーサーカーのサーヴァント。 真名を、ジョシュア・ノートン。 自称、皇帝ノートン1世。メキシコの保護者、合衆国唯一の皇帝。 彼の宝具、『愛し愛された我が帝都』は、結界宝具である。 結界内は市民の敬愛の念が溢れ、彼はこの中ではCランクの皇帝特権を得る。 彼はそれを展開し、周囲の人間を護っていたのである。 「戦」はヒトが争わなければ、成立しない。そして、「それ」は「戦」そのもの、それに依存する存在。 …大河の流れも一滴の雫から始まる。出掛かりを封じられたセイバーは、唯々黙り込むしか無かった。 “―――俺の理念に反する”ガンマン・リンゴー 「待ちなよ、旦那」 橋の上から水面を見つめながら歩いていた先程の漁師に、声を掛ける者があった。 「…何だ」 見ると、その男には顔中に傷痕がある。凄まじい顔面だがそのしぐさは不思議と際だって見えた。 「あんたにいい話があるんでね、こうして探し当ててやって来たのさ。苦労したぜ?何せあんたほぼずっと霊体化して探索してただろ?」 「御託はいい、貴様の素性と、要件を話せ」 大仰に話す男と対照的に漁師はぶっきらぼうに答えた。 「つれないねぇ… じゃ、まず自己紹介からいくか。俺はアサシン、真名をサルヴァトーレ・ルカーニア。ラッキー・ルチアーノっつった方が通りがいいか? 前回の聖杯戦争の生き残りで、あんたに会ったのもそれ絡みさ」 「ふん…ならず者が何の用だ」 あっさりと真名をばらした男に表情一つ変えず漁師は質問を続ける。 「何、あんたが昔闘った『奴』ともう一度闘えるアテがあるってだけさ」 「!?」 それまで終始表情を変えなかった…黙示の騎士を前にしても変わらなかった男の表情が驚愕に変わる。 「今回のアサシンは狼…しかも害獣、反英雄だ。ならあんたが闘った『奴』…『白鯨』だって来る、いや来させる事が出来るんじゃないか?」 「!!」 「今の時代はあんたの頃よりずっといい船も、武器もある。兵隊は俺の部下の『名誉ある男』達がいる。 …あの時の決着を語るより、今から新しい白鯨伝説を創る、てのはどうだ?」 「……」 ラッキー・ルチアーノ。犯罪シンジケートの立案者、合衆国マフィア最高幹部にして組織改革者。 暗黒街へと足を踏み入れていなければ一流ビジネスマンになっていたかもしれない天才犯罪者の口上は続く。 「確かにあんたの伝説は凄い。今こうしてあんたが英霊になってる位だからな。だが、その不朽の英雄譚も『結末がよくわからない』んじゃケチがついたも同然だ。 だからこそその結末の為にあんたは来たんだろうが…どうだい、こっちの案にも一口乗ってみねぇかい?…ランサーの旦那」 「…俺と組む事による貴様の利益は何だ。手駒なら、『名誉ある男』達とやらがいるのだろう。 それに、最終的には貴様と俺が聖杯への願いで争うのではないか?」 徐々に落ち着きを取り戻した漁師…ランサーは再び質問を重ねる。 アサシンはそれに気を良くしたのか、にやりと笑い答える。 「そうだ、此方は手駒が欲しい。俺の部下はどいつも立派な男達だがやはりサーヴァント相手だと分が悪い。 加えて今回のセイバー…アレはやばすぎる。だけどあんたはアレを前に平然としていた。 あんたはアレへの切り札に成り得る。それと…別に俺は聖杯への願いは無ぇ。 あんなもんが無くても俺の願い…俺のシンジケートの再興は充分叶うからな」 そういって不敵に笑うアサシンをランサーは再び無表情に見つめる。 「さあ、俺の話はここまでだ。回答や如何に?ランサー…いや、キャプテン・エイハブ」 アサシンはそう言ってとっくに分かっていたが敢えて口にしていなかったランサーの真名を告げる。 ランサー、エイハブ。復讐の船長、白鯨の宿敵。 彼は静かに考えていた。『奴』ともう一度闘える…あれが…もう一度…… 「…お前の案に乗れば、もう一度『奴』と闘えるんだな?」 「おっ、やる気になってくれたかい?それじゃ「だが断る」…何?」 にこやかに手を差し出そうとしたアサシンの顔に、銛が突きつけられる。 「俺と『奴』の闘いは、俺達だけのものだ。他の誰にも邪魔はさせん。俺の闘いに、貴様は要らん」 簡潔に拒絶を叩きつけるランサー。 「……ああ、そうかい」 瞬時に表情を消したアサシンの手には銃が握られていた。 「じゃあ、交渉決裂だな!!」 言って、即座に銃弾をばら撒く。 だがランサーは既にその場にいなかった。銃口が自分に向く前に、橋から水面へと飛び込んだのだ。 「ちっ、…おしいな」 僅かに悔しさを滲ませた後、アサシンは頭を切り替える。 …取り敢えずは、他の陣営の監視だ。部下にそう指示すべく、彼はポケットをまさぐった。 “―――復讐は冷めてから味わえ”ガンマン・ライアン 水中を泳ぎながらランサーは一人考えていた。 (…あのならず者は中々良い事を教えてくれた。 そうか、もう一度『奴』と闘えるのか、今度こそ完膚無きまでに『奴』を叩き潰せるのか。 否、何度でも『奴』と闘えるのか。そいつは素敵だ、最高だ。) いつしかランサーの表情は復讐者だけが浮かべる歓喜に染まっていた。 そして、その高揚した精神のまま、彼は今後の戦略を考える。 (…ならもっと此方も準備をせねばならんな…) 少し考えて、魔力を練り上げる。 (……来るがいい……) …やがて、海底から何かが上がってくる。 それは、船…帆船だった。 ぼろぼろになった帆船、それが海底から物凄い速度でランサーめがけ、昇り…いや疾走してくる! そしてそれはランサーを乗せると遂に海上へと浮上した。 「来たか…我が捕鯨船…ピークォド号」 無論船には嘗ての船員達も乗船していた。全員、戦意に満ち満ちている。 真の意味で船長へと戻ったランサーの銛に再び聖エルモの火が灯る。 それらを満足そうに眺めた後、ランサー、キャプテン・エイハブは叫ぶ。 「さあ行くぞ、待っていろモビィ・ディック!!!」 はいという訳で再び勢いだけで書き上げたSS(嘘予告)でした! もうね、レッドライダー先に書かれてしまったのがショックで三割くらい書いてほったらかしにしてしまってた原稿引っ張り出して台風の中、1日で書きましたよ! 当然イロイロとアレ!!ちなみに冒頭のアレらは全部マカローニウエスターンのセリフです。あんまり観た事ないけど… で後亜米利加と銘打ってるのにセイバー居ないでやんの!!誰かジョージワシントンたんくらいでセイバーつくってくださいよぉ!! だから亜米利加だけど1名亜米利加じゃないという結果に…ある意味タイトルごめんなさい… そんでもって勢いだけで書いた結果船長がやばい事に…船追加しちゃった!わーい!! しかし亜米利加だけにすると7名中6名が近代になっちゃうというとんでもなさ。神秘、薄! 以下各鯖の説明(という名の脳内妄想) セイバー:レッドライダー EX級宝具持ちのクセに妙に扱いの悪いセイバーさん。 ステが周りで変動して上がってくってことは召喚直後に首根っこ抑えとけばどーにかなるんじゃね? と思ったのが劇中描写の切っ掛けです。 完全に争いの無い世界だよーってどこぞの妖精が人類滅亡後にほざいてたんも参考にしました。 まあ元が強いからやられになるんはしょんなかね。 ランサー:エイハブ 白鯨絶対殺すマン。 書いてる内にどんどん長くなってしまった船長。 某SSで非力面子にいたんが妙に印象に残ってたんも原因か? 超解釈で白鯨絶対殺すの一念で以て黙示の騎士を退ける。すごいぞ船長。 まあ向こうの召喚直後以外は瞬殺だろうなあ… アーチャー:ウィリアム=H=ボニー 皆大好き早撃ち悪漢王。 ぶっちゃけキャラは先人の方々のSSまんまです。 先人のSS書きの皆様、ありがとう、そしてごめんなさい… ガンマンの英霊同士の撃ち合いはきっととってもかっこいいのでしょうが、 筆者は戦闘描写が苦手なのでカットカット(嘘予告だし) ライダー:ペコス・ビル 某夢の国は一切関係ありません。 以前なんかのSSで見たなーとwiki漁ってみたら…ペレロフォンと闘ってる! でも彼のページにSSへのリンクが無い…カワイソス んで「銃弾が起こした風に乗る」ってアイデアはまんまそのSSからです!ハイ! だって…かっこよかったんだもん… アサシン:ロボ 狼。多分お手はしない。 聖杯に知恵つけてもらって生前よりパワーアップ。 野犬をカリスマで従えて夜の街で人間狩り…怖いけど他陣営に瞬殺されそう… 願いは奥さん生き返らして静かに暮らす事。 願いはまともだし何だかんだ言う事ききそうだけど勝ち目あんのかこいつ… バーサーカー:ジョシュア・ノートン サンフランシスコのマスコット皇帝。世が世ならゆるキャラかな? 戦火が広がる前に封じ込めにかかるという超解釈で赤騎士抑えさせたけどちょっと強すぎただろうか… ちなみに劇中で今は余の帝都って言ってますけど実際にサンフランシスコ市は大阪市と姉妹都市提携をしてます。 冬木のモデルである神戸市じゃないのがちょっと残念… しかしこいつもこいつで勝ち目ねーなー… キャスター:プテサン・ウィ そこまでよ!!(AA略 なんと赤騎士除いて亜米利加で1番古い鯖というとんでもない状況。 しかし書いてて思ったけどバッファローへの変身とか色々考えてたら 何か魔法少女っぽい決め台詞を言わせてしまう事に…ま、いいか身長でかいけど ん、なんか雲が黒くなってきたな… 居残りアサシン:ラッキー・ルチアーノ 没後百年経ってないんで神秘薄々、宝具は神秘ダダ漏れという素敵な鯖。 前回からの生き残りなんでその間にどんどん勢力広げて聖杯戦争を待ってた、っていう事にしてます。 しかしどうなんですかね、関係者とかまだ生き残ってそうなんですけど、やっぱ復讐優先にするのかしら。 悪のカリスマ的なもんがあったんでしょうけど何か小悪党になっちゃった…スンマセン 前回をどう生き延びたの?とかは各自で妄想してくだしあ 以上です。少しでも楽しんで頂けたのなら幸いです。
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【元ネタ】史実、春秋戦国時代 【CLASS】キャスター 【マスター】 【真名】王翦 【性別】男性 【身長・体重】190cm・83kg 【属性】中立・中庸 【ステータス】筋力E 耐久D 敏捷C 魔力C 幸運A 宝具A+ 【クラス別スキル】 陣地作成:- 陣地として運用可能な宝具を保有しているため、このスキルは失われている。 道具作成:E 魔術的な道具を作成する技能。 【固有スキル】 軍略:B 一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。 自らの対軍宝具の行使や、 逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。 カリスマ:D 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。 カリスマは稀有な才能で、一軍のリーダーとしては破格の人望である。 佯狂:D 周囲を欺く自我の偽装。 サーヴァントと認識させないほど高位ではないが、 判定に成功するまで王翦の真意を誰も見抜けない。 【宝具】 『大城郭・慢起動器(フォート・オン・ザ・ボーダー)』 ランク:A+ 種別:対軍宝具 レンジ:1~40 最大捕捉:1000人 楚と秦の国境付近に築かれた堅固な砦。 広大な土地で真名解放をすることでその砦を顕現させる。 砦は“神殿”相当の陣地として機能する他、砦の宿す“防御”の概念によって、 常軌を逸した防御性能を発揮し、対城級の一撃であっても三回くらいまでならほとんど傷を付けられない。 またこの砦は、砦内で生産、貯蔵された魔力を、中にいるマスターや兵団に分配させ、 彼らの全ステータスを徐々に上昇させる“充電器”としての役割も兼ねる。 この“充電”によってステータスを最大まで上昇させることで、 マスターや兵団の全ステータスを3ランクアップ、Bランク相当の“追撃”、“一気呵成”を習得させられる。 なお、この“充電”は王翦自身には適応されない。 【Weapon】 『無銘・秦兵』 秦王政にしつこく勝利の褒美や戦後の待遇などを聞きに行かせた使者。 キャスターはそれらを無数の“使い魔”として運用し、 『大城郭・慢起動器』の起動にお誂え向きな土地を探索する。 基本的に彼ら自体には戦闘力は皆無だが、 先述の宝具によってサーヴァント級の戦闘能力を獲得する。 宝具でもサーヴァントでもないので、 キャスターが魔力を注ぎ込むことで傷を癒し、現界させ続けることが出来る。 【解説】 春秋戦国時代の秦国の将。 楚、越を滅ぼすなど秦の天下統一に貢献した名将である。 始皇11年に初めて史書に登場し、魏のギョウを楊端和らと共陥落させ、 9城を落とすが、これ以降は老齢を理由にあまり秦王政(のちの始皇帝)には重用されなくなる。 楚の平定にあたり政が「どれくらいで行ける?」と問うと王翦は「60万はいるっスかね」と慎重で、 対象的に若い将軍李信は「20万で十分だぜ」と積極的で勇敢な意見を提示し、これが採用される。 意見を突っぱねられた王翦は引退を宣言し、隠居する(政は、この時王翦を一切引き止めなかった)。 だが李信が項燕の奇襲戦法に大敗すると、政は手の平を返したように王翦宅を自ら訪ね、 将軍の任を与え、秦の全軍を与えた。これは当然、すぐにでも秦を落とせる規模の軍勢である。 このことによって政に疑いをかけられることを恐れた王翦は、 敢えて“恩賞で頭がいっぱいな匹夫”を演じて、政に疑心を掛けられぬよう、心配りを欠かさなかった。 結果王翦は、楚の平定後も政に疑心を持たれず、天寿を全うすることが出来た。 死後、息子の王賁が跡を継ぎ、王賁の子には王離がいる。
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【元ネタ】史実 【CLASS】アサシン 【マスター】 【真名】小野但馬守政次 【性別】男性 【身長・体重】170cm・58kg 【属性】混沌・悪 【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷C 魔力B+ 幸運E 宝具D 【クラス別スキル】 気配遮断:D サーヴァントとしての気配を絶つ。隠密行動に適している。 ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断は解ける。 神明裁決(偽):C ルーラーとしての最高特権。 聖杯戦争に参加したサーヴァントに令呪を行使することができるスキルだが、 本来、小野但馬守はルーラー適性を持たず、また、“歪曲”スキルによる強制付与のため、 正規の参加者として召喚されていた場合でも、他のサーヴァントに対する令呪の行使は不可能。 ただし、自分自身に令呪を用いることは可能であり、彼は専ら単純な魔力・呪詛の強化に令呪を用いる。 【固有スキル】 歪曲:A 本来呼び出したクラスが強制的に歪められ、別のクラスの特性を付与された証。 引き替えに元のクラス別スキルのいずれかが低下する。 小野但馬守の場合は気配遮断が低下してDランクとなっている。 神性:D “中井家文書”に於いて、死後に怨霊として祟りをもたらし、 後に二宮神社に但馬明神として祀られた。 無辜の怪物:D 井伊、徳川両家の大義名分を保つため、その在り方・功績を捻じ曲げられた逆臣(あくやく)。 能力・姿が変貌してしまう。 彼の場合は他者に善意を向けられない人格の複雑化と、“呪詛”能力などを付与される。 呪詛:D 呪術という魔術系統の型に収まっていない呪の魔力の操縦。 明確な逸話に乏しい彼の呪は、“阻害”の概念を有する攻撃呪詛として機能する。 【宝具】 『汚名齎す怨嗟の呪(ぎゃくしんのせんおう)』 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~40 最大捕捉:1000人 令呪を一画使用して展開する、膨大な魔力で構成される呪詛。 高密度な呪の魔力は、極めて特殊な性質を有し、どれほど高い対魔力スキルを以てしても、 ダメージ削減や防呪、解呪などが一切できない。 ただし、呪詛は水神系統の加護などでのみ、ダメージ軽減・防御等が可能となる(水の魔力放出なども効果がある)。 令呪を用いない場合の真名解放も可能だが、その場合は本来の(Dランク相当)威力での展開となり、 当然呪詛の威力は大幅に減少する(それにより、対魔力や抗呪・加護系スキルで防御可能になる隙も生じる)。 【解説】 遠江国井伊谷は井伊氏に仕えた家老で、同じく家老の小野和泉守政直(道高)の嫡男。小野道好とも。 父の病死後に家督を継ぐも、井伊氏と対立し、奥山因幡守の暗殺や、主君の井伊直親が徳川氏と内通したという 虚偽の報告を今川氏へ行い、直親を謀殺させるなど、露骨ともとれる対井伊、親今川路線を取った。 直親謀殺後は嫡男の虎松(のちの井伊直政)をも討たんとしたが果たせず。 その後数年間は表立った行動を起こさなかったが、武田の遠江侵攻が始まると再度氏真の命を受け、 井伊谷を掌握せんとし、井伊氏より当地を横領。 その後、徳川家康に帰順した近藤、菅沼、鈴木らの、通称・井伊谷三人衆によって井伊谷は奪還され敗走。 堀川城攻めの際に見つけ出され、獄門に処された。彼が井伊谷を掌握した期間は、34日とされている。 井伊氏にとって代表的な奸臣、専横者でもあるというのが後世の評価である。 だが、徳川氏を絶対善と仰がずともよい時代になると、“小野但馬守奸臣説”に対する異説も出始め、 “非”奸臣説に影響を受けた作品も、近年では存在感を増しつつある。
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8. 突然の爆発音に驚いて飛び出してきたのは、喫茶店レーヴェンスボルンの人々に限らなかった。 花火の類では決してありえないその轟音。子供の悪戯である筈はなく、近隣で事故があったのかと思えばそうではない。 何事かと顔を見合わせ、ふと空を見やり――そして更に驚愕する。 完成すれば水佐波水上都市のシンボルとなったであろう高層ホテルの最上部が、跡形も無く消し飛んでいるのだから! 住民達の脳裏によぎるのは数年前に発生した、飛行機が乗客もろともビルに突っ込んだという、あの事件。 そう、事件だ。事故ではなく、事件。となれば、この後に何が起こるかわかったものではない。 我先にと逃げ始めた人々の判断は、はっきり言って正常だったろう。しかし、状況が異常であった。 「――――うん?」 最初に其れに気づいたのは、昼食を食べようと会社を出たばかりのサラリーマンだった。 ホテル最上階が爆発する、その瞬間を目撃していた彼は、取るものも取らず慌ててホテルとは正反対の方向に走り出していた。 不幸にして逃げ惑う人々の最前となってしまった故に、彼はその集団と出くわしてしまう事になる。 その集団は――どうしたわけか、冷凍倉庫の中から現れた。ぞろぞろと何十人も連なって。 最初は倉庫の従業員達かと思った。しかし、その衣服はといえば決して作業用のそれではない。 私服のものもいた。背広のものもいた。大人もいれば老人もいたし、子供も混ざっていた。男もいれば、女もいた。 そして、あろうことか、彼らはホテルの方へ向かおうとしていたのだ。 「お、おい、あんたら! あっちは危ないぞ!」 戸惑いながら、サラリーマンは彼らに注意を促す。 ひょっとしたら倉庫の中にいて、何が起きたのか知らないのかもしれない。 幾ら奇妙な集団だからと言っても、見捨てておける筈は無かった。 しかし、誰も止まらない。 中空を睨む虚ろな眼に、だらしなく開いた口元。しかし足並みは整然としており、軍隊さながらに乱れが無い。 ぶつぶつと何やら呟きながら、まるでサラリーマンの姿が眼に入っていないかのように、歩いていく。 ――こいつら、何かやべぇぞ……。まるで死人じゃねェか……。 直感的に判断し、それ以上声をかけずに走り出そうとした彼の判断は、やはり正常と言えただろう。 しかし、状況は異常なのだ。 背後――――つまりホテルの方向から迫り来る巨大な何かに気づいた時には、もう遅い。 それが何なのか理解する暇もなく、雪崩の如く迫り来る鼠の群れにサラリーマンは飲み込まれ、そして消えた。 他の市民達も、程なくして理解するだろう。 人を貪り喰らう鼠の群れ。 次々に数を増やしていく死者の軍勢。 その両者の戦いの最中に、自分達が放り出されたのだということに。 「ど、どーしよう、なんか凄いことになっちゃったよぅ……っ」 「慌てるな、小日向。テロにせよ事故にせよ、少なくとも避難するのが妥当だろう。 しかしテロだとして、水佐波を狙った目的はなんだ? ……まるで想像がつかないが」 「少なくとも私達が考える事じゃないよ、冴子」 そして一方、喫茶店レーヴェンスボルン。 瞬く間に人々がいなくなり、取り残されたのはごく少数の人員。つまり水佐波高校の女生徒たちと、夏海、優介、鉄人、そしてアーチャーであった。 通りで奇妙な集団――少なくとも一般市民である彼女達にはそれが死者だとはわからなかった――と、異常な数の鼠が争う光景を見ながら、 パニックにならずに留まっていられたのは、そして異常事態に慣れた人員が残っていたのは、幸運以外の何者でもなかろう。 ――と、優介は、喫茶店の窓際に一羽の鴉が止まっていることに気づき、それを店内へと招き入れる。 そしてその鴉が纏っている腐敗臭に顔を顰め――それが誰から送られたのかを理解し、ますます不機嫌そうな顔になった。 手を伸ばすと躊躇うことなく鴉の首を引っつかんで持ち上げ、その足首に巻かれた紙切れを外し、目を通すと、 やはり躊躇うことなく、その手紙をグシャグシャに握りつぶす。親の仇もかくやと言わんばかりの様子だ。 「どーかしたで御座るか、御館殿」 「…………あーもう、面倒臭ェ」 ため息を一つ。こうなったら、つい先ほどまで睨みあっていた男――蔵間鉄人との交渉所ではあるまい。 そしてそれは、鉄人も同様らしかった。二人して顔を見合わせ、それから揃ったように溜息を吐いた。 「おい、あんた……取り合えずここは手を組まないか?」 「ちょうど良い。坊主、俺も似たような事を考えてたぜ。 俺ァ、この街でのゴタゴタをさっさと片付けたい。坊主も似たようなもんだろ」 「ああ。さすがにこの状況は、あんたと殺し合ってる場合じゃないからな。まったく面倒臭ェ」 流れるように会話が続き、あっさりとここに同盟が結ばれる。 気に喰わないことだが、鉄人と優介はお互いに、相手と自分の求めているものが同じだという事を理解していた。 つまるところ、菅代優介は自分が平穏に生きたいが故に、蔵間鉄人は水佐波の街と住人の為に、この状況―― ――――ひいては、聖杯戦争などという馬鹿騒ぎも片付けてしまいたいのだ。 恐らくは聖杯に捧げる願いが無いのも同じだろうと、互いに考える。 それに何より、菅代の翁/あの爺と比較して――手を組むには申し分ない相手だった。 優介は鉄人が『何者』であるのかを知っているし、鉄人――というより夏海にとって――優介のような主催者側と協力できるのは大きい。 双方共に、生き残ることが至上の目的である以上、ここで争う必要が無い。 こう言った双方の事情を鑑み、渋々であったが手を組むことに鉄人が同意したのは、本人の過去の経験に拠るものが大きいのだが、 それがこうも簡単にまとまったのは、本人は無自覚であろうけれど、優介の持つ『能率』という起源に助けられたからだろう。 詰まる所は二人揃って「利害が一致すれば私情に関係なく手を組める」人間だった、という事だ。 ようは似たもの同士と言っても過言ではあるまい。――本当に、気に喰わない事だが。 「しかし、ありゃ何だ。やらかしてるのは九割九分九厘マスターどもだろうが、正体がわからん」 「ああ、あれは死体だ。……参った事に、誰が操ってるのかも知ってるから、それは任せて欲しい。 かわりにあんたは鼠の方を片付けてくれ。と言うかマスターなら、あれが何だかわかんだろ?」 「ああ、それなんだがな……」 さて、どう説明したもんかと鉄人は思考を巡らせる。 協力体制を組む以上は明かすべきなのだろうが、しかし彼女を必要以上に関わらせるのは本位ではない。 ――が。 ちょこちょこと何時の間にか此方に近づき、会話を盗み聞いていた夏海には、そんな心配は関係なかった。 「あ、それ違うよー」 「あん?」 「マスターなのは兄さんじゃなくて、あたし。サーヴァントはアサシンだっけ?」 「はァ!? 素人がマスター?! なんだよそれ、ふざけてんのか! 馬鹿なのか? 死ぬのか!」 「まぁ、そういう事も稀にあるで御座るよ。慌てない慌てない」 「お前は少し慌てろ、アーチャー! くそったれ、面倒臭ェ……!」 激昂する優介を他所に、鉄人は心底から頭を抱えたくなった。 「つまりあの鼠どもは、一匹一匹が全部サーヴァントだって事か」 「うん。でもさ、あたしは良く知らないけどサーヴァントとマスターって普通、二人で一組ずつなんじゃないの?」 「まあ、一人で複数のサーヴァントを従えてる例も無くは無いけどな。 主人を無くした奴と契約をしたり、最初から二体召還したり……本家本元、冬木の聖杯戦争で何度か確認されてる。 確かこの前の回でも一組か二組はいた筈だが……まったく、あの鼠は反則も良い所だ。面倒臭ェ」 余りにも圧倒的な戦闘力の差に、優介は心底から溜息を吐いた。 祖父の残した資料――過去に行われた聖杯戦争の記録と、つい最近開催された戦争の生存者からの報告書による限り、 英雄となった鼠の大群などという、こんな馬鹿げたサーヴァントが存在する筈も無いのである。 エーデルフェルトの双子などが、一人の英霊の正邪両面をそれぞれ召還したという特異な例も存在するが、 あれは一人一体というマスターとサーヴァントの原則を破っているわけでもなく、参考にすらならない。 かつて聖杯戦争に参加した時計塔の講師曰く、無数のサーヴァントを召還する宝具も存在するようなのだが、 しかしこうも長時間――更に広範囲に渡って――扱えるような物で無いことくらい、魔術を齧っていれば誰もが想像できる。 可能性として考えられるのは、その講師が参加した聖杯戦争の『分裂するアサシン』のようなタイプだろう。 アサシン程度ならば、それこそ他のサーヴァントで正面から戦う事ができれば問題にすらならないのだが、 ……………鼠の大群ともなると、正直な話、どう対応して良いのかまるでわからない。 「アーチャー、何か手はあるか?」 「……生憎、拙者は『一匹の怪物』を退治して祀り上げられてしまったのであって、戦場で暴れたわけでは御座らん。 というより、戦場で負けたから腹切って死んだので御座るからして、ぶっちゃけ無茶振りで御座る――が。 嫌ァなことに、正体は検討がついてるので御座るよー……多分あれ、頼豪殿で御座る」 「頼豪――頼豪阿闍梨か!?」 その通りと頷くアーチャーに対し、思わず鉄人は顔を顰めていた。 頼豪阿闍梨と言えば、時の天皇を恨み、絶食して果てた後、関東を襲った怨霊である。 とてもではないが、まともな英霊の類ではない。 であるならば、この鼠の大群こそがサーヴァントであるというのも頷ける話だ。 なぜならば頼豪は恨みを晴らす際、その体を八万四千匹の鉄鼠へと転じたというのだから。 どうにもこうにも打つ手が欲しいところだ。 死者の軍勢は現在、かろうじて鉄鼠の群を押さえ込んでいるが――それ以上ではない。 長期戦になるのは確実だし、それで果たして勝てるかどうかも不明だ。 加えて、もしも長期戦になどなれば水佐波がどうなるのか想像もつかない。 神秘は隠匿すべしという大原則から外れるのも良いところだ。 ――後のことを考えると、優介としては非常に頭が痛いのだが。 と、そこで何かを思い出したのか、夏海がぽんと手を叩いた。 「あ、でさ、兄さん達。相談中のところ悪いんだけど、ちょっと良い?」 「あん?どうした?」 「実はその、友達の彼氏が入院してるんだけど――……」 ちょいちょいと夏海の手招きに応じて、彼女の友人達が話し合いの場へと集まってくる。 全員が年頃の少女である以上仕方ないのだが、その顔には不安や怯えの色が濃い。 平静を保っていられるだけでも、褒めてやるべきだろう。 「……彼女の性格からして、梃子を使っても傍を離れんだろう。様子を見に行きたいんだが」 「私や冴子、葵も鍛えてはいるけれど、正直、徒歩で行けるとは思えなくて」 「病院――水佐波総合病院か。……おい、坊主。お前、アシはあるか?」 「一応は車がある。無理やり詰めれば全員は乗れなくもないだろう」 優介の言葉に頷き、鉄人は黙考する。 手はある。やろうと思えば、割合と楽だ。だが――やりたくはない。 そうも言ってられない状況なのは重々承知しているし、実行するつもりでもいるが。 ――糞ったれ。戦争なんていうのは半世紀以上も前に終わっただろうに。 「……よし、わァった。夏海、お前は俺と一緒に来い。お嬢さんがたは、坊主の車で病院まで送ってもらえ。 病院は病院で何か対応してっだろうし、たぶん大丈夫だろう。その後の担当は、さっき決めた通り。坊主、良いな?」 「構わないが――――あんた、何とかできるのか?」 「ああ。だから、そっちも早いところ何とかしてくれ」 ―――――ほど無くして。 「大蛇」は人員を満載して、レーヴェンスボルンから走り去った。 さすがに日本車、危なげない走りである。あの分なら、このどうしようもない状況の中であっても問題なく病院まで行けるだろう。 しかし夏海としては――不安以外の何者でもない。 あの夜、ランサーと血を啜るマスターに襲われた時から、たった一日だ。 戦いとは全くの無縁だったというのに、今から行くのは殺し合い。 ――いや、それはつい一時間前まで、この水上都市を闊歩していた多くの人たちもそうだろう。 その内の何人が助かり、何人が死に、そして――『視る』事になるのか。 一歩間違えば、自分もそうなるのだ。自分だけでなく、兄や、アサシンも。考えたくもない。 何もかも投げ出してしまいたいけれど、何とかできるのも自分――のサーヴァント、アサシンだけ。 別に主従だとかそんな事を考えてはいないが、彼女が戦う以上、自分が逃げるわけにもいかない。 そして何より、鉄人が戦いに行くのだ。自分が逃げるわけにはいかない。 だけど――どうしようもなく、怖かった。 「……………兄さん。大丈夫?」 「ああ、大丈夫だ。別に、大した事じゃ無ェさ」 「……本当?」 「本当だ」 「…………本当の本当?」 「本当の本当だ」 「……………本当の本当の本当?」 「本当の本当の本当だ。……つか、怖いならついて来なくても良いんだぞ?」 「う……。それは―――」 できない、と。 あまりにも魅力的な言葉だけれど、できないのだと。彼女は首を横に振って拒絶する。 それを見た鉄人が、困ったような顔をして笑い――不意に、わしゃわしゃと夏海の髪が引っ掻き回された。 あの晩と同じ、撫でているんだかなんだかわからない、不器用な手の動かし方。 「だったら、少しは信用しろ。 俺ァ大丈夫だし、お前も大丈夫。それに――」 「ええ、わらわもついておりますもの。夏海様、心配する必要はありんせん」 胸元から聞こえてくる軽やかな声。未だ首飾りの姿をしているアサシンが、穏やかな様子で囁いた。 ――そう、あの夜と同じなのだ。 アサシンがいて。鉄人もいて。 不意に、胸の中に広がる暖かいものに気がついた。不安が溶けていくように無くなった事に気がついた。 「…………うん。わかった、信用する」 だから行こう、と。 夏海は、混乱の渦と化した水上都市へと脚を踏み出した。 ****あとがき************ さて、皆さんあけましておめでとうございます。 今年もどうか宜しくお願いします……と、新年SS書初めでした。 いろいろと悩みながら試行錯誤を繰り返しておりますが、 どうにかこうにか、リハビリが終わってきたような感もあります。 とりあえず水佐波市を大パニックにというのは当初から考えておりまして(笑) 鉄鼠VSゾンビ軍団というB級映画もかくやな光景ではありますが、 それがメインなわけではないので、描写も浅くせざるをえんのが残念です、はい。 まあ、どうにかこうにか頑張って行きたいなぁ、と。 次回はライダーVSアーチャーの――予定!